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医療BCP開業医<事業継続力計画>病院の医業継続計画NCPは国民生命の最後の砦

事業継続力計画:BCP・BCM・NCPの違い

事業継続力計画のBCP(Business Continuity Plan)、事業継続力マネジメントのBCM(Business Continuity Management)、医療継続力計画のNCP(Medical Continuity Management)は、いずれも異なる文脈で使用される用語であり、それぞれ異なる側面を指しています。以下に、それぞれの概念と違いについて説明します。

◆事業継続計画 BCP(Business Continuity Plan
BCPは、組織が事業活動を中断させる可能性のあるリスクに備え、重要な業務機能を継続させるための計画です。主に災害や非常事態に対する対策を含みますが、事業の継続性を確保するためにはあらゆる種類のリスクを考慮することが求められます。
主な目的は、災害や非常事態が発生した際にも事業活動を継続し、サービス提供や製品供給などを維持することです。これにより、組織は潜在的な損失を最小限に抑え、信頼性の高い事業運営を実現します。
◆事業継続マネジメントBCM(Business Continuity Management)
BCMは、BCPを包括的かつ戦略的に捉える組織のアプローチやマネジメント体系を指します。BCPはBCMの一部であり、BCMは組織全体における継続的な事業活動の管理を指します。
BCMの主な目的は、組織全体で事業継続性を確保するために、計画、プロセス、構造、技術などを統合的に管理することです。これにより、組織はあらゆるレベルでリスクに対処し、事業の継続性を確保します。
◆医業継続計画NCP(Medical Continuity Plan)
医療機関が事業継続性を確保するために策定する計画は「医療継続力計画」または「医療事業(医業)継続計画(Medical Continuity Plan)」と呼ばれることがあります。これは、医療機関が災害や非常事態に備え、患者への適切な医療サービスを提供し続けるための計画で、国家が緊急事態や国家的な危機に対処するための計画や政策を指し、一般的なBCPより高位なMCP(医業継続計画)となります。別の用語で、NCP(National Continuity Policy)という言葉があり、一般的に国家的な緊急事態や危機に対処するための枠組みや政策を指します。

BCPとMCPの概念の違い(内閣府中央防災会議『事業継続計画ガイドライン第1版』

BCP<事業継続力計画>

MCP<医業継続力計画>

災害時、病院や診療所は国民生命の最後の砦!医療BCP(NCP含む)を行う意義

医療提供者として、患者さんの生命と健康を守るという責任を背負っており、その中で診療継続計画が果たす役割は極めて大きいと言えます。

災害時による駆け付けるケガ人や急病者への対応は病院にしかできず「国民生命の最後の砦」となります。

まず初めに、診療継続計画とは何か、その基本的な概念を確認しましょう。

診療継続計画は、緊急事態や災害時においても患者さんへの適切な医療を提供し、医療機能を確保するための戦略や手順を策定するものです。

これは、医療機関が安定した医療サービスを提供し続けるために不可欠な要素であり、特に非常事態下での患者さんへのサポートは「国民生命の最後の砦」とも形容されます。

なぜ診療継続計画が「最後の砦」とされるのでしょうか。

それは、患者さんたちが最も脆弱で、最も保護が必要な状況に置かれることが多いからです。

災害や緊急事態の際、通常の医療提供が困難な状況に陥る可能性があります。

そのような状況下で、診療継続計画は患者さんたちが最も必要とする医療を提供し、生命の継続性を確保するための戦略を提供します。

診療継続計画の「最後の砦」としての役割について考える上で、以下の重要なポイントが挙げられます。

   医療BCP開業医事業継続力計画の役割
1. 非常事態下での基本的な医療提供
診療継続計画は、非常事態が発生した場合でも基本的な医療サービスを提供するための手順を明確にします。これには、急患対応、患者のトリアージ、必要な医薬品や医療機器の確保などが含まれます。これにより、災害や緊急事態下でも患者さんへの適切な医療が提供されることが期待されます。
2. 患者の適切なケアと支援
特に、高齢者や慢性疾患を抱える患者さんなど、特別なケアが必要な方々に対する計画が診療継続計画には含まれます。患者さんの健康状態やニーズを正確に把握し、その情報をもとにした適切なケアと支援が提供されます。
3. 医療スタッフの教育と訓練
非常事態においても冷静で効果的な医療提供ができるよう、医療スタッフへの教育と訓練が不可欠です。診療継続計画は、スタッフが迅速で正確な判断を下し、連携を図りながら患者さんに対応できるような環境を整える手段となります。
4. 資源の最適利用
非常事態下では医療資源が制約されることがあります。診療継続計画は、限られた資源を最適に利用し、患者さんに必要な医療を提供するための戦略を考えます。これには、医薬品や医療機器の優先度付け、スタッフの配置調整などが含まれます。
5. 地域との連携
診療継続計画は、他の医療機関や地域の保健関連機関との連携を強化します。特に災害時には、地域全体で資源を共有し、協力して患者さんへの医療提供を行うことが求められます。地域全体の医療体制の一翼を担い、最善の医療を提供することが期待されます。
6. コミュニケーションと情報共有
非常事態においては、スムーズで透明性のあるコミュニケーションが不可欠です。患者さんへの情報提供やスタッフ間のコミュニケーションを円滑に行うことで、混乱を最小限に抑え、患者さんへの信頼を築くことが期待されます。
7. 継続的な改善と訓練
診療継続計画は一度作成しただけでなく、定期的な改善と訓練が求められます。災害や非常事態に対応するためには、実際の状況に合わせて計画を修正・更新し、スタッフ全体が訓練を受け、最新の情報とスキルを身につけることが欠かせません。

これらのポイントを含む診療継続計画が、「国民生命の最後の砦」と呼ばれる所以です。

非常事態が発生した際、最も必要な瞬間においても、医療機関は患者さんに対して最高水準の医療を提供できるよう、計画的かつ実効的な対応を行います。

その結果、患者さんたちが最も安心して医療を受けられる場となり、生命の最後の砦としての役割を果たすことが期待されます。

診療継続計画の策定と実施は、医療機関の使命である患者さんの生命と健康の保護に対する真剣な取り組みであり、地域社会との一体感を高め、共に安心できる社会を築く一環となります。

医療提供者としての責任と誇りを持ち、診療継続計画を通じて患者さんへの最高の治療を提供できるよう策定していただきたいと思います。

医療BCP(医療事業継続計画)を策定し実行する責任

医療BCP(医療事業継続計画)を策定し実行することは、医療機関や関係者にとって非常に重要な責任があります。

   医療BCP開業医事業継続力計画
1. 患者の安全確保
医療BCPの主要な責任は、患者の安全を確保することです。災害や非常事態が発生した際、患者への適切な医療提供を確保することが求められます。これには、必要な医薬品や医療機器の確保、適切なトリアージの実施、緊急時の避難計画などが含まれます。
2.医療機関の継続性確保
医療機関は、災害や緊急事態に備えて事業を継続する責任があります。これには、医療スタッフのトレーニング、医療資源の備蓄、設備の耐久性向上などが含まれます。患者への中断なく医療提供を続けることが期待されます。
3.スタッフの安全確保
医療BCPは医療機関のスタッフの安全も考慮する必要があります。災害時においてもスタッフが安全に業務を遂行できるような環境整備や、スタッフのトレーニングが求められます。
4.地域社会との連携
医療BCPは単なる医療機関内の計画だけでなく、地域社会との緊密な連携が重要です。隣接する医療機関や地域の保健機関、救急サービスとの連携を強化し、資源の共有や情報交換が円滑に行えるようにする責任があります。
5.計画の策定と継続的な改善
医療BCPの責任者は、計画の策定や定期的な見直し、改善を行う責任があります。新たなリスクや変化に対応できるよう、計画を柔軟かつ実効的に保つための努力が求められます。
6.患者やスタッフへの情報提供
災害や非常事態時には、患者やスタッフに正確で迅速な情報提供が不可欠です。医療BCPの責任者は、情報伝達の効果的な手段を確立し、混乱を最小限に抑え、安心感を提供する責任があります。
7.法令や規制への遵守
医療BCPの策定や実行は、関連する法令や規制への遵守が不可欠です。医療機関は、地域や国の規制に基づいてBCPを構築し、実践する責任があります。

開業医事業継続力計画の重要なポイントです。

これらの要素を含む総合的な計画を構築し、災害や非常事態に備えることで、医療機関は患者さんへの安心感を提供し、事業を継続していくことが可能となります。

医療BCP(医療事業継続計画)を策定で気を付ける思考

災害等による社会情勢の混乱、医療機関機能の著しいニーズの高まりに対し、医療機関機能を維持し、 且つ被災者への迅速な救護・診療を行うことが使命となります。

従って、勤務するすべての職員は、災害に関する行動等の規範を深く理解し、災害時にも冷静に対応できるよう、平時より万全の体制を整えなければなりません。

事業継続計画書及び災害対策マニュアルをつくり、災害時において、人命救助を最大限優先し、寸断なく医療提供を行い、災害拠点医療機関として地域医療の核となることを方針とします。

   医療BCP開業医事業継続力計画の展開思考
1. リスクアセスメントと事前の対策
災害や非常事態に備え、リスクアセスメントを実施しましょう。事業の継続に影響を与える可能性のあるリスクを洗い出し、それに対する事前の対策を計画することが重要です。例えば、施設や機器の耐震性向上、電源のバックアップ、重要なデータのバックアップといった具体的な対策が挙げられます。
2. スタッフの教育と訓練
医療スタッフが災害時にどのような行動を取るべきかを理解し、実践できるようにするための教育と訓練が欠かせません。定期的な緊急事態訓練や災害対応のシミュレーションを行い、スタッフ全体が協力して円滑に対応できるようにすることが求められます。
3. 患者情報の保護とバックアップ
患者情報は極めて重要であり、災害時にも適切に保護されなければなりません。電子カルテや患者データのバックアップを確保し、安全な場所に保管することで、医療提供の継続性を確保できます。
4. 患者へのコミュニケーション戦略
災害や非常事態が発生した場合、患者への的確で透明性のあるコミュニケーションが不可欠です。事態の進捗状況や医療提供の変更について、適切な情報提供を心掛けることで、患者さんの安心感が向上し、信頼関係が築かれます。
5. 協力体制の構築と連携
開業医は地域の中心的存在であり、他の医療機関や関連機関との協力が不可欠です。災害時には連携ネットワークを構築し、適切な情報共有や資源の共有を可能にすることで、地域全体の医療提供体制を一体化させることができます。
6. 継続的な改善と評価
事業継続力計画は一度作成しただけでなく、定期的に見直しと評価が必要です。新しいリスクや変化に対応するため、計画を適時修正・更新し、改善の余地を見つけていくことが大切です。

以上が、開業医事業継続力計画の重要なポイントです。

これらの要素を含む総合的な計画を構築し、災害や非常事態に備えることで、医療機関は患者さんへの安心感を提供し、事業を継続していくことが可能となります。

医療BCPは単なる手続きや計画書だけではなく、それを実行するための意識と行動が不可欠です。
スタッフが共に取り組み、地域社会において安全かつ安心な医療提供が確立されることを心より願っています。

当機構は、開業医事業継続力計画の策定を行っておりますので、ご不明な点がございましたら、お問い合わせください。

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