BCP:事業継続力計画

50年後…災害はゼロにはならない!
そして、明日起こるのかもしれない!

BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。

BCP取り組みの現状

中小企業によるBCP(事業継続計画)に係る認知度を確認したところ、「よく知っており必要であると考えている」と「聞いたことがあり必要であると考えている」を合わせると約6割を占めているのに対し、「策定済み」と回答しているのが15.5%であることから、BCP策定の必要性は認識しているものの、日々の経営活動における優先順位が低く、BCP策定に至っていない企業が多いことがわかります。

 

BCP策定の動機

企業はどのような背景でBCP策定に至ったのは、「経営層による経営判断」という回答が49.5%と最も多くなっており、BCPの取組を進めていく上では経営者が供給責任を果たすことを重要な経営課題の一つであると認識し、リーダーシップを発揮して対策を進めていくことが重要です。

社内では「防災」を意識しつつも、定期的な防災訓練で終了させてしまうことが多く、防災マニュアルや策定済みのBCPで満足してしまう場合もあります。

BCP策定は「防災マニュアル」からの取組により社員の生命を守り、社員全体の取り組みとしてBCPを行う防災リテラシー向上の必要性があることがわかります。

義務的意識のBCPは文書作成が目的となっている行儀作法としてのBCPには限界があり、ただきれいに書き込む「美しい過ぎるBCP策定書」は、大災害が来た時に、果たして役に立つものなのかと再検討(BCM)が必要です。

計画策定から訓練による行動力強化をして、災害発生時の行動力の可視化を促す「複合的な見える化訓練」を通じてBCPにおける課題を抽出し、防災リテラシー向上によって防災マニュアルとBCP策定で、命を守り会社を存続させる取り組みを行いましょう。

BCP事業継続力計画とは

BCP(事業継続力計画)は、組織や企業が自然災害や感染症などの緊急事態や、その他の予期せぬ出来事に備え、業務を中断せずに維持し、最小限の影響で運営を続けるための戦略的な計画です。

中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めて、組織が災害や緊急事態に備え、ビジネス継続性を確保するために、事前に策定し、実施するプロセスです。

東日本大震災をはじめとする大規模災害等において、直接被害はもとより、サプライチェーンにも大きな影響が出るなどの経験から、「防災」及び「災害時における事業継続」の重要性を再認識し、中小企業へのBCPの普及促進に向け、中小企業庁は「中小企業BCP策定運用指針」の改訂を実施しました。

中小企業強靱化法において、防災・減災に取り組む中小企業がその取組内容(事前対策)を計画としてとりまとめ、当該計画を国が認定する制度を創設しました。

中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を経済産業大臣が認定する制度です。認定を受けた中小企業は、税制優遇や金融支援、補助金の加点などの支援策が受けられます。

計画に記載する項目の事例は以下の通りです。

  • ハザードマップ等を活用した自然災害リスクの確認方法
  • 安否確認や避難の実施方法など、発災時の初動対応の手順
  • 人員確保、建物・設備の保護、資金繰り対策、情報保護に向けた具体的な事前対策
  • 訓練の実施や計画の見直しなど、事業継続力強化の実行性を確保するための取組  等

中小企業庁HP 経営安定対策室より

 

国土強靱化基本計画とは

災害に対する国全体の強靱性(レジリエンス)を向上させるためには、「発災そのものを抑制する」「たとえ発災してもその被害を小さくする」「速やかに復旧する」という3点を効果的に連携させて施策を展開していくことが重要です。

平成23年「東日本大震災」から得られた教訓を踏まえれば、大規模自然災害等への備えについて、予断を持たずに最悪の事態を念頭に置き、従来の狭い意味での「防災」の範囲を越えて、国土政策・産業政策も含めた総合的な対応を、言わば「国家百年の大計」の国づくりとして行っていく必要があるのです。

「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会を構築するため「国土強靱化(ナショナル・レジリエンス)」を推進する基本目標として、いかなる災害等が発生しようとも、国の持続的な成長を実現し、次世代を担う若者たちが将来に明るい希望を持てる環境を整備・維持する必要があります。

① 人命の保護が最大限図られること
② 国家及び社会の重要な機能が致命的な障害を受けず維持されること
③ 国民の財産及び公共施設に係る被害の最小化
④ 迅速な復旧復興

参考資料:内閣官房

国土強靱化の取組によるSDGsのゴール達成への貢献

SDGsとは、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標で、17のゴール、169のターゲットから構成され、「誰一人取り残さない」ことを誓っています。

日本において持続可能な社会を構築するには、大規模自然災害に備え、強い国づくり・地域づくりを進めていくことが重要であり、国土強靱化とSDGsは密接に関連しています。

参考資料:内閣官房

気象災害が激甚化・頻発化し、南海トラフ地震等の大規模地震の発生が切迫する中、国民の生命・財産を守り、災害の被害に遭う方を一人でも減らすため、防災・減災、国土強靱化に取り組み、官民が一体となって質の高いインフラ投資を行うことは、SDGsにおいても非常に重要です。

我が国は民間の力を活用し、社会課題解決に向けた取組を推進すると同時に、多様性に富んだ包摂的な社会や、一極集中から多極化した社会を形成し、地域を活性化するための施策を推進する必要があるのです。

事業継続力強化計画「補助金や税制優遇利用のすすめ」

未曽有の巨大・広域災害への対応に当たっては、最大クラスの地震・津波が発生する場合のみならず、時間差で大規模な地震が発生する場合の時間的・空間的影響を考慮した対応の検討を通じて、事前の備えを強化するほか、あらかじめ過去の災害経験から得られた知見について情報発信・共有化を図り、初動対応に必要な専門スキルを有する人材や物資を確保できる体制を広域で構築するなど、ハード・ソフトの両面から、国を挙げて取り組む必要があります。

また、経済活動の停滞を回避するためには、サプライチェーンの維持・確保が重要であり、長期に及ぶ移転先の確保等について、比較的被害が軽微な地域が、甚大な被害を受けた地域の後方支援を行う体制づくりを進める必要があるため、中小企業において「事業継続力計画」を行い、一たび災害が発生すれば、迅速かつ正確な被害状況の把握・情報収集手段の冗長性を確保することが重要です。
そのため、政府及び各自治体において、様々な制度を用意されています。

認定を受けた企業に対する支援策

1. 防災・減災設備に対する税制措置
税制の概要
●対象者:経済産業大臣による防災・減災対策に関する事業継続力強化計画の認定を受けた者
●支援措置:特別償却20%
●対象設備:
-機械装置(100万円以上):自家発電機、排水ポンプ 等
-器具備品(30万円以上) :制震・免震ラック、衛星電話 等
-建物附属設備(60万円以上):止水板、防火シャッター、排煙設備 等

2. 低利融資、信用保証枠の拡大等の金融支援
信用保証協会枠の拡大、日本政策金融公庫による低利融資等の利用可能性があります。

日本政策金融公庫による低利融資
事業継続力強化計画の認定を受けた事業者が行う設備投資に必要な資金について、基準利率から0.9%引下げ利率による低利融資を受けることができます。

貸与金利 設備資金について、基準利率から0.9%引下げ(運転資金については基準利率)
(※1)信用リスク・貸付期間などに応じて所定の利率が適用されます。
貸付限度額 中小企業事業:7億2,000万円(うち運転資金2億5,000万円)(※2)
国民生活事業: 7,200万円(うち運転資金 4,800万円)
(※2)設備資金において、0.9%の引下げが適用となるのは、貸付限度額のうち2億7千万円までです。
貸付期間 設備資金20年以内、長期運転資金7年以内(据置期間2年以内)

事業継続力強化計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等とは別枠での追加保証や保証枠の拡大が受けられます。

3. 補助金(ものづくり補助金等)の優先採択
事業継続力強化計画はものづくり補助金の加点項目になっています。
事業継続力強化計画の「認定」が加点要件となって、申請だけでは加点されません。
ものづくり補助金のスケジュールに合わせ早めに認定取得しておきましょう。

加点を受けるには「すでに認定を受けた」事業継続力強化計画の実施期間中である必要があります。

事業継続力強化計画の認定には非常に時間を要しますので、ものづくり補助金における加点を狙う方は、各種計画をなるべく早く準備することをおすすめします。

4. 中小企業庁HPで認定を受けた企業の公表、認定企業にご活用できるロゴマーク

中小企業強靱化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受けた場合、下記の認定ロゴマークを使用することが可能です。

防災計画からBCP(事業継続マネジメント )まで、指導を行う業者は多くあります。

BCP策定の利点は、「事業継続力強化計画認定制度」だけの目的ではなく、被災後も企業災害リスクの軽減効果によって通常業務を1日でも早く稼働させることが本来の目的です。

防災対策は策定をおこなって終了されるものではなく、人的資源(ヒト)と物的資源(モノ・カネ・情報)が維持され体制が整っていることを維持し更新し続けるものでなければなりません。

事務的な策定だけではなく、人と会社を守るための防災のプロの指導を受けることをおすすめします。

 

 

 

 

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